加齢黄斑変性症
保険一般診療
目のフイルムの役割をしている部分の中心が傷んで、見えにくくなる疾患です。
目の中のフイルムの役割をしている網膜の中心部分を黄斑と言います。
この黄斑部分に、悪い血管ができたりして、黄斑部に血管から漏れ出た水分が溜り、網膜剥離や浮腫、萎縮などの異常が起き、見たいところが見えなくなる疾患です。加齢、肥満、喫煙、紫外線などが危険因子と言われていますが、詳しい原因はわかっていません。
眼底検査とOCT検査で診断します。補助的に蛍光眼底造影検査を行う時もあります。 加齢黄斑変性症には、大きく分けて滲出型と萎縮型の2種類があります。
滲出型の治療は硝子体内注射という処置を行います。抗VEGF抗体という薬剤を目の中に注射します。外来で日帰りで行える治療です。 最初の注射導入期は1か月に1回の注射を3か月続けます。その後は、経過観察を行い、注射が必要な時、または定期的に注射を繰り返すなど、患者さんの病状などに応じて治療を行います。 萎縮型の有効な治療法は残念ながらありません。幸い萎縮型の進行はゆるやかです。ルテイン、ゼアキサンチンなどのサプリメントが進行予防に有効と言われていますので、服用することをお勧めします。萎縮型から滲出型に変わることがありますので、定期的な診察も重要です。 また、加齢黄斑変性症の前段階の時期があります。眼底検査でドルーゼンという網膜の老廃物が溜まっているのを確認することで分かります。この場合も定期的に検査をしていくことをお勧めします。喫煙している方はタバコは止めましょう。
加齢黄斑変性症とサプリメント
加齢黄斑変性症とは、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。 網膜の黄斑部には、ルテイン、ゼアキサンチン、メゾゼアキサンチンが非常に高い濃度で集積しています。 これらは緑黄色野菜に多く含まれている成分です。 ルテインとゼアキサンチンは食事から摂取されるカルテノイドで、日本の食事に含まれる量は不明ですが、アメリカの食事に含まれる量は通常1.3~3㎎との報告があり、網膜を保護するには不足のようです。
Age Related Eye DiseaseStudy(AREDS)というアメリカの大規模無作為比較対象試験では、①大きいドルーゼン(網膜の老廃物)が1個以上か中型のドルーゼンが多発している方 ②片眼が滲出性加齢黄斑変性症になっている方 ③萎縮性加齢黄斑変性症の方 に対し、 ビタミンC500㎎、ビタミンE400IU、βカロテン15mgの高容量の抗酸化ビタミンと亜鉛800㎎(銅2㎎)摂取が加齢黄斑変性症の進行リスクは25%減少したと報告されています。 さらに、AREDSⅡという研究が続き、βカロチンは不要であった。喫煙者はβカロチンを多く摂取すると肺がんのリスクが増える。ω3脂肪酸は予防効果がない、ルテイン・ゼアキサンチン摂取する群は、しない群より加齢黄斑変性症の進行が10%減少した、報告しています。 日本の加齢黄斑変性症の治療指針の一部もこの結果をもとにしています。上記の様な高容量のビタミンが含まれているサプリメントが医療用サプリメントとして販売されています。 眼底に異常の無い方は飲む必要性は少ないですが、予防用の医療サプリメントなどもあり、服用を考えている方は、眼科を受診し相談されることをお勧めします。 当院では、高深達のスウェプトソースOCTで網膜の黄斑部の異常を検出し、検査を行います。